損益計算書(Profit and Loss Statement)の読み方

この記事では、損益計算書(PL, Profit and Loss Statement)の読み方について解説します。
損益計算書は、財務3表の1つで、特定期間(ex. 1年間)に会社がどの程度の売上や利益を上げたかを報告する決算書です。
収益に対する費用とその差である利益を一覧でまとめています。
一言で言うと、会社の成績表であり、会社の収益力がわかります。
企業の決算を読む上で、欠かせない表の1つとなっています。
#会計クイズ でも、複数企業の損益計算書を比較する問題を出題することがあります。
が、そもそも損益計算書とは何か?なぜ、会社の収益力が分かるの?という方も多いかと思います。
今回は、そんな損益計算書について、詳しくみていきます。

損益計算書を比較する会計クイズ

損益計算書を比較する会計クイズは以下の図のような形式で、実在する企業の損益計算書を図解し、並べる形で出題します。
これらの損益計算書を比較して、ある企業の損益計算書が選択肢(①〜③)のどれなのかを解答していきます。
以下は株式会社資生堂、Facebook, inc.、ぴあ株式会社、いずれかの損益計算書です。

損益計算書の比較問題

例題となりますが、上の図に含まれる損益計算書のうち化粧品で有名な株式会社資生堂の損益計算書を表しているのはどれでしょう?
※今の時点でこの問題に解答できなくても大丈夫です。
※この記事を読み終わる頃に、この問題を解けるようになっていることを目指しましょう。

損益計算書の読み方

それでは、損益計算書をどのように読んでいくのか、まずは大枠から見ていきましょう。
下の図は貸借対照表と含まれる項目を図解したものです。

損益計算書の実物と図解

左が実際の損益計算書(今回の例では、ディズニーランドを運営する株式会社オリエンタルランドの損益計算書を使用)であり、右側が図解化したものです。
左側のように実際の損益計算書は細かい項目(勘定科目)に分かれています。
会計の実務を担当する場合、これらの細かい項目を覚え、収益や費用がどの項目に該当するのかを仕訳する必要があります。

右側は、勘定科目を大きなカテゴリーで括り、カテゴリーごとに金額の大きさとグラフの高さを対応させた図です。
このように図解化することで、会計に係る内容をを感覚的に捉えていきます。
以下の図で、さらに大きなカテゴリーで損益計算書を捉え直します。

大項目による単純化

いかがでしょうか、かなり単純化されましたね。
この図から分かるように、損益計算書とは、収益と費用を比較して利益(または損失)を出しているだけです。

ただ、ここまで単純化してしまうと、会社の成績が分かりづらくなってしまいます。
では、左側のグラフに戻って、順に各カテゴリーを詳しくみていきましょう。

まずは、「売上総利益」です。

売上総利益

売上総利益とは、本業の利益です。
売上高から売上原価を差し引いて算出されます。粗利益とも呼ばれ、「粗利」という単語には耳馴染みがあるかもしれません。

売上総利益は、最も会社や業界の特徴が反映される利益です。
例えばリンゴをメインに販売している企業があるとします。
売上総利益の区分にはリンゴの販売を通して発生した売上高とリンゴの原価が表示されます。
株の売買をしていたとしても、株の売買は本業ではないので、この区分には含まれません。

続いて、「営業利益」です。

営業利益

営業利益は売上総利益から販売費および一般管理費(以下、販管費)を差し引いて算出されます。
販管費は売上総利益を獲得するために、どれだけ企業が努力したのかを表示する項目です。
販管費には広告宣伝に使用した費用や従業員の給料が含まれるため、会社の経営スタンスが垣間見えます。

次は「経常利益」です。

経常利益

会社の実力が一番反映される利益です。
本業で獲得した利益に、本業以外で獲得した収益と費用を加算して算出されます。
毎期反復的に継続して行われる活動により獲得した利益のため、会社の実力が一番反映されるといわれています。

次は「税引前当期純利益」です。

税引前当期純利益

1期間に発生したすべての事象を加味して算出された利益です。
特別損益のような毎期のように発生しないような事象(例えば、事業の売却や火災損失)から発生した利益/損失も含まれます。

上記の4つ(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益)に加えて、税引前当期純利益に税金コストを加味した「当期純利益」を加えて、大き5つの利益が存在します。
これらの利益をまとめると、以下の図のようになります。

各種利益まとめ

売上高から各種発生した費用を引いていき、最後に残るのが当期純利益というイメージです。
また、格段階で商品の収益(売上総利益)、本業の利益(営業利益)、反復活動による利益(経常利益)、当期の全事象を反映した利益(税引前当期純利益)、税金支払い後に純資産に返っていく利益(当期純利益)が見えてきます。

最後に、「損益計算書」についてまとめると、以下の図のようになります。

損益計算書まとめ

以上のように損益計算書とは、特定期間における会社の経営成績を表します。
また、その成績表から、会社が利益を獲得するために、どのような努力をしたのかを読み取ることができます。
原価を抑えて利益を出す。単一商品の利益は小さいが、大規模に販売することで利益額を大きくする。
など、企業や業界ごとに特色が出てくるので、ビジネスモデルからPLをイメージすることもできるようになっていきます。

会計クイズの解き方

ということで、最初に見た問題を再度見てみましょう。
冒頭と同じ「損益計算書の比較問題」の図が以下にあります。
最初に見た時よりも、少なからず抵抗が薄まったのではないでしょうか。

損益計算書の比較問題

上図の選択肢①〜③は株式会社資生堂、Facebook, inc.、ぴあ株式会社、いずれかの損益計算書です。
これらの選択肢から株式会社資生堂の損益計算書を当てる会計クイズです。

では、一緒にクイズを解いていってみましょう!
まず最初のステップです!

企業をイメージする

株式会社資生堂がどのような企業であるか、イメージしてみてください。
財務分析を行う上で、企業をイメージするのはとても重要で、会計クイズを解く際も企業のイメージは重要な工程になります。

  • 化粧品を販売している企業のイメージがある
  • メーカーの利益率って一般的に高くないから、資生堂も高くはないはず
  • 化粧品の原価は安い、と聞いたことがあるな
  • 全国のデパートに美容部員を配置しているはず
  • 有名女優を起用したCMをよく見るぞ
  • etc...

いくつかイメージがわきましたか?
実際の財務諸表を見る前に、イメージを元に自分の中で財務諸表の形を作ります。

企業をイメージする3

そして、イメージした財務諸表と実際の財務諸表を比べ、差を詰めていくことで分析能力の向上に繋がります。
そのため、このイメージするというフローは絶対に省略してはいけません。

このフローを継続することで、イメージの精度が上がります。
最終的には、企業の所属する業界と展開しているビジネスモデルから財務諸表のカタチを、
また逆に、財務諸表のカタチから所属する業界とビジネスモデルの展開、どのような状態かを精度高く推測できるようになります。

では、資生堂のイメージと損益計算書を結びつけていきましょう。

損益計算書の項目を比較する

資生堂といえば「化粧品」が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。本業の活動は化粧品の販売活動です。
一般的に化粧品の原価は非常に安いと言われており原価率はかなり低くなると予想できます。
そのため、原価率90%を超える③を選択肢から外します。

原価率の比較

選択肢③を外したので、続いて選択肢①と②を比較しましょう。比較すると販管費の大きさに差があります。
資生堂といえばよくCMで見ると思いますが、出演者が豪華な女優なのが特徴ですよね。
化粧品はイメージが非常に重要で、多くの化粧品メーカーが多額の広告宣伝費をかけます。
さらに、資生堂の場合は、百貨店にブースを作り美容部員が顧客対応を行うので人件費も膨大になります。
広告宣伝費や人件費は販管費に含まれるため、資生堂の販管費は大きく膨れていると予想できます。

販管費の比較

以上より、選択肢の①と③が消え、資生堂の損益計算書は②となります。
他の選択肢について、①はFacebook、③はぴあ。となります。

損益計算書比較問題の正解

では、ここで他の選択肢についても詳しく見てみましょう。
まずFacebookですが、多くのIT企業の例に漏れず、営業利益率が非常に高いです。
また、営業利益率が高くなる要因の1つですが、IT企業はサーバ環境があればクラウド上でソフトウェアを提供できることが多く、原価が小さくなります。
この傾向に当てはまる損益計算書は選択肢①であり、これがFacebookとなります。

続いてチケット販売で有名な「ぴあ」です。
ぴあは販売元からチケットを仕入れ(この仕入れ価格が原価に該当)、それを小売店等に販売するチケット取次業です。
仕入にマージンを乗せて、それを販売するビジネスモデルのため非常に原価率が高くなります。
もちろん、マージンを大きくすれば原価率は小さくなりますが、そのようなことをすると売れなくなってしまいますよね。
以上から、原価率が大きく営業利益率の小さい選択肢③が、ぴあとなります。

※もちろん今回の解説はあくまで一例であり、答えへの辿り方はたくさんあります

以上が損益計算書の読み方と、会計クイズの解き方です。
少しでも財務諸表に対するハードルが低くなっていると嬉しいです。
損益計算書を比較する会計クイズを出題/解説しているので、ご確認ください。

また、Twitterの #会計クイズ に参加していただけると幸いです。
日々、財務諸表を読むことで、確実にビジネス基礎力が高まると信じています。
是非、継続的に財務諸表に触れてみてください。

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