貸借対照表 (Balance Sheet)の読み方

貸借対照表(BS, Balance Sheet)の読み方について解説します。
貸借対照表には、財務3表の1つで①期末時点における会社に存在する財産の状態を表す、②会社資金の調達と運用の状況を表す、という役割があり、企業の決算を読む上で、欠かせない表の1つとなっています。
#会計クイズ でも、複数企業の貸借対照表を比較する問題を出題することがあります。
が、そもそも貸借対照表とは何か?なぜ、会社の財産の状態が分かるの?という方も多いかと思います。
今回は、そんな貸借対照表について、詳しくみていきます。

貸借対照表を比較する会計クイズ

貸借対照表を比較する会計クイズは以下の図のような形式で、実在する企業の貸借対照表を図解し、並べる形で出題します。
これらの貸借対照表を比較して、ある企業の貸借対照表が選択肢(①〜③)のどれなのかを解答していきます。
以下はミクシィ株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社オリエンタルランド、いずれかの貸借対照表です。

貸借対照表の比較問題

例題となりますが、上の図に含まれる貸借対照表のうちディズニーランドを運営する株式会社オリエンタルランドの貸借対照表を表しているのはどれでしょう?
※今の時点でこの問題に解答できなくても大丈夫です。
※この記事を読み終わる頃に、この問題を解けるようになっていることを目指しましょう。

貸借対照表の読み方

それでは、貸借対照表をどのように読んでいくのか、まずは大枠から見ていきましょう。
下の図は貸借対照表と含まれる項目を図解したものです。

貸借対照表

この図のように、貸借対照表は大きく3つの区分に分けることができます。
左の青色の部分が「資産」、右の赤色の部分が「負債」、緑色の部分が「純資産」となってます。

図の左側は、会社が「運用」している資金にを表し、右側は、会社が「調達」した資金を表しています。
左側(借方)と右側(貸方)がBalance (均衡) することから、貸借対照表を英語で「Balance Sheet」と呼びます。

それでは、左側の「運用」サイドから詳しく見ていきましょう。

運用サイドの項目例

企業は資産を運用し、お金を回収します。
その回収するスピードに応じて、資産は流動資産と固定資産に分かれます。

流動資産には、決算日から一年以内に現金化できる資産が入ります。
「現金・預金」や「商品」「売掛金」等が入ってきます。
商品は、販売することで比較的短期間に現金として回収することができるため、流動資産に含まれます。

一方、固定資産には一年を超えて、保有する資産が入ります。
「建物」「備品」「土地」のような長期間使用することで資金を回収することに寄与するものが含まれます。

以上より、資産サイドは資金の回収する早さに応じて「流動」と「固定」の2つに分かれます。
また、その分かれ目は、一年という期間が指標になります。

続いて、左側の「調達」サイドについて詳しく見ていきましょう。

調達サイドの項目例-負債-

調達サイドの項目は負債と純資産に分かれます。

負債には借入金や社債などの返済義務のある資金調達手段が含まれます。
資産と同様、負債も返済期限の早さに応じて流動と固定に区分されます。

流動負債は決算日から一年以内に返済する負債です。
「買掛金」や1年未満で返済する「短期借入金」が含まれます。

固定負債は決算日から一年以上かけて返済予定の負債です。
「社債」や1年以上かけて返済予定の「長期借入金」が含まれます。

続いて、純資産について詳しくみてみましょう。

調達サイドの項目例-純資産-

会社が調達してきた資金のうち返済が不要なものです。
株主が出資した資本金や、会社が稼いだ利益のうち社内に留保した利益剰余金などの「株主資本」と、
資産にも負債にも含まれない評価換算差額や新株予約権などの「その他」の項目で構成されます。

以上までをまとめると、貸借対照表(Balance Sheet)は以下の図のようになります。

貸借対照表まとめ

会計上の厳密な定義や正確な表現を避けて記載しましたが、
貸借対照表とは??を掴むことができたのではないでしょうか。

それでは、最初にみた会計クイズについて、上記で学んだ知識を用いて解いていきましょう。

会計クイズの解き方

ということで、最初に見た問題を再度見てみましょう。
冒頭と同じ「貸借対照表の比較問題」の図が以下にあります。
最初に見た時よりも、少なからず抵抗が薄まったのではないでしょうか。

貸借対照表の比較問題

上図の選択肢①〜③はミクシィ株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社オリエンタルランド、いずれかの貸借対照表です。
株式会社オリエンタルランドの貸借対照表がいずれかを当てる会計クイズです。

では、一緒にクイズを解いていってみましょう!
まず最初のステップです!

企業をイメージする

株式会社オリエンタルランドがどのような企業であるか、イメージしてみてください。
財務分析を行う上で、企業をイメージするのはとても重要で、会計クイズを解く際も企業のイメージは重要な工程になります。

  • ディズニーランドを運営しているから、土地や建物を多く保有しているはず
  • 土地や建物が多いと固定資産が大きくなるはずだ
  • 入場料やグッズ販売によって売上を立てているだろう
  • 信用格付けはAAと聞いたことがあるな
  • 財務状況の安全性は高いだろう
  • ずっと利益を出しているだろうから、純資産が大きいだろう
  • etc...

いくつかイメージがわきましたか?
実際の財務諸表を見る前に、イメージを元に自分の中で財務諸表の形を作ります。

企業をイメージする3

そして、イメージした財務諸表と実際の財務諸表を比べ、差を詰めていくことで分析能力の向上に繋がります。
そのため、このイメージするというフローは絶対に省略してはいけません。

このフローを継続することで、イメージの精度が上がります。
最終的には、企業の所属する業界と展開しているビジネスモデルから財務諸表のカタチを、
また逆に、財務諸表のカタチから所属する業界とビジネスモデルの展開、どのような状態かを精度高く推測できるようになります。

では、次のステップに移りましょう。

貸借対照表の項目を比較する

このステップでは、①イメージと実際の貸借対照表を比較する、②それぞれの選択肢である貸借対照表を比較する 、ということをします。

オリエンタルランドはディズニーランドというテーマパークを保有しています。
そのため、土地や建物のといった固定資産が大きいという特徴があるはずです。
つまり、固定資産の小さい③は選択肢から外れます。

固定資産の大きさを比較

選択肢③が外れたので、続いて選択肢①と②を比較しましょう。
特徴的な差はいろいろとありますが、ここでは、流動資産と流動負債の流動項目をみてみましょう。

流動項目の大きさを比較

選択肢①では、流動資産 > 流動負債となっており、選択肢②では、流動資産 < 流動負債となっています。
このことから、選択肢①の方が②よりも財務安全性が高いことがわかります。
株式会社オリエンタルランドは信用格付けAAの優良企業であるため、財務安全性は高いと推測できます。
このことから①がオリエンタルランドと考えられます。

ここで、財務安全性について補足します。
流動比率をみることで、財務状況を簡単に分析することができます。
すべての流動資産を売った場合、短期的な負債を返済することができるか?という基準で会社の短期的な資金の支払い能力を判断します。

簡単な財務分析

流動負債は1年以内に返済が必要な短期的な負債でした。
そのため、流動負債を上回る流動資産を有しているか否かから、短期的な財務上の安全性をみることができます。
この際、流動比率(流動資産 / 流動負債 × 100)を用います。

財務分析の教科書には流動比率は200%が望ましいと書かれていることが多いです。
が、日本では企業間における信用取引が発達しているため140%程あれば十分という見解もあります。

この流動比率でみた場合、会計クイズの選択肢①は100%を超えており、②は100%を下回っています。
②は財務的に安全とは言えませんね。

また、株式会社オリエンタルランドは黒字経営を続け、利益の積み上げから純資産もある程度大きいと推測できます。
純資産で比較した場合も、選択肢① > 選択肢②となっており、選択肢①が妥当そうですね。

以上から、株式会社オリエンタルランドの貸借対照表は①でした。

正解:貸借対照表の比較問題

他の選択肢は、②が東日本旅客鉄道株式会社、③がミクシィ株式会社でした。

東日本旅客鉄道株式会社は、線路を引くための土地や設備、車両が固定資産に含まれて固定資産が大きくなります。
また鉄道業の特徴ですが、流動比率が100%を下回っている場合が多いです。
鉄道利用者から毎日安定して現金が入るため、流動資産を多少減らしても安全性を確保できるからです。

また、IT企業は設備や建物などほとんど必要ないため固定資産はかなり小さくなる傾向があります。
この特徴に当てはまるのが、ミクシィ株式会社で、選択肢③が該当します。

以上が貸借対照表の読み方と、会計クイズの解き方です。
少しでも財務諸表に対するハードルが低くなっていると嬉しいです。
貸借対照表を比較する会計クイズを出題/解説しているので、ご確認ください。

また、Twitterの #会計クイズ に参加していただけると幸いです。

日々、財務諸表を読むことで、確実にビジネス基礎力が高まると信じています。
是非、継続的に財務諸表に触れてみてください。

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