財務諸表の比較(Amazonと楽天)

今回は、ECを運営する2社(Amazon, 楽天)の財務諸表に関する #会計クイズ と解説を行います。
誰もが一度はいずれかのECサイトを利用したことがあるのではないでしょうか?
Amazonは、EC会員向けに、商品の購買だけでなく動画視聴サービスや音楽サービスを提供しています。また、Webサービス提供事業者向けにサーバのレンタルサービスなども展開しています。
楽天は、EC事業に加え銀行業やプロスポーツチームの運営等、Amazon同様に多岐に渡る事業を展開しています。
このAmazonと楽天について、貸借対照表と損益計算書を比較する問題を出題します。
※補足ですが、選択肢間の規模は一致しません。選択肢内のBSとPLの比率は一致します。

貸借対照表と損益計算書を比較する会計クイズ

以下の図は、Amazonと楽天の連結貸借対照表と損益計算書の図解です。。
選択肢①, ②のうち、Amazonの財務諸表はどちらでしょうか?
※2017年度の有価証券報告書を元に作成しています

BS,PL比較問題(Amazon,楽天)

※自信のない方は以下のページを参考にしてみてください
貸借対照表の読み方
損益計算書の読み方

会計クイズの解答アンケート結果

アンケート結果

Twitter上のアンケートでは、以下のような結果でした。
選択肢②が63%、選択肢①が37%と差が開きました。
Amazonは総資産に対すして売上の方が大きいと予想された方が多いのかもしれません。

  • 総投票数:1,146票
  • 選択肢①:424(37%)
  • 選択肢②:722(63%)

アンケート結果(BS,PL比較問題)

参加者のコメント

Twitter上の解答では、以下のようなコメントがみられました。

  • 楽天は子会社が多いため、M&Aが盛んでBSが大きい①。よって、②がAmazon。仮にAmazonが①だとすると、投資した資産からの収益率が低いから違うだろう。
  • Amazonは①。両社の違いは倉庫の有無。楽天はWebサイト上で場を貸して倉庫や在庫管理は各社に任せている。一方でAmazonは自社で倉庫・在庫を抱え、また、AWS用のデータセンターも所有しているため資産が大きくなると予想。
  • ①が楽天。ECサイト、銀行、証券等の幅広い事業を行なっている。手がける金融業の性質上、資産に比べて収益率が低い。②がAmazon。AWS、広告事業、ECサイト等で収益を上げ、収益のほとんどを設備投資に回しているため、営業利益は少ないが、収益率は高い。

会計クイズの正解発表

それでは、貸借対照表と損益計算書の比較に関する問題の正解発表です。
Amazonの連結貸借対照表、損益計算書に該当するのは、選択肢②でした。
選択肢①:楽天、選択肢②:Amazonとなっています。

 正解:BS,PL比較問題(Amazon,楽天)

Twitterアンケートの正答率は63%でした。
こちらの解説については以下に記載します。

会計クイズの解説

それでは、会計クイズの解説です。
まずはECのモデルの違いから見ていきましょう。

以下の図は倉庫運営型のEC事業者のビジネスモデルです。

ビジネスモデル:倉庫運営型

倉庫運営型の特徴は、在庫を保管するための倉庫が必要となり、在庫を仕入れるために棚卸資産が発生することです。
倉庫運営型のEC事業者は、消費者に対して商品情報をECサイト上で提供し、決済と発送先の情報を管理します。決済が完了した商品について、メーカー/小売業者へ支払いを行います。メーカーは予め物流センターに商品を納品しているため、EC事業者が物流センターへ商品の手配をすることで、消費者のもとへ商品が発送されます。
このような形で、消費者とメーカーの仲立ちをするのが、倉庫運営型のEC事業者です。

続いて、モール型のEC事業者のビジネスモデルを見てみましょう。

ビジネスモデル:モール型

モール型の特徴は、ECを運営する事業者が倉庫や配送システムを持たないことです。
モール型のEC事業者は、消費者に対して商品情報をECサイト上で提供し、決済と発送先の情報を管理します。この際、メーカー/小売事業者への直接の支払いとなっています。
メーカー/小売事業者は出店料と売上手数料をEC事業者に支払う対価として、ECサイト上に店舗の商品を掲載している形になります。そのため、商品の発送は、メーカー/小売事業者から消費者へ直接という形になり、EC事業者は出店料と売上手数料が収入の中心で、在庫リスクを原則負いません。

ECのビジネスモデルについて理解できたところで、Amazonと楽天について考えてみましょう。
Amazonは倉庫運営型とモール型でECを運営し、倉庫と在庫を保有することになります。
それに対して、楽天はモール型がメインで、出店料や売上手数料がECの収入となり、在庫リスクを負いません。

ECのビジネスモデルだけを見ると、楽天の方がAmazonよりも資産回転率(資産に対する売上の大きさ)が高そうにみえます。
しかし、実際はモール型のECを運営する楽天の方が資産回転率は低くなります。
※PLよりもBSの方が圧倒的に大きい

貸借対照表の事業比較(楽天)

楽天は銀行やクレジットカードなどの金融事業を扱っています。
楽天の貸借対照表を金融事業と非金融事業で比較すると、金融事業の貸借対照表が非金融事業の4倍の大きさになります。
この結果、楽天の財務諸表は金融事業の事業状況が強く反映されることになります。
※銀行の財務諸表はこの形になることが多いです

今回のポイントは、単純にEC事業のモデルを考えるだけでなく、その企業が展開している事業で財務諸表に強く影響を与える事業が何か、その事業の財務諸表はどうなるのか?を捉えることでした。
最後に、Amazonの資産の内訳を見てみましょう。

総資産の内訳(Amazon)

流動資産内で占める棚卸資産、固定資産内で占める有形固定資産の割合が大きくなっています。

以上、今回の会計クイズの簡単な解説でした。
他のクイズも気になる方は、こちらから別のクイズにも挑戦してみてください。
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